婚礼衣装に見る伝統美:掻取の魅力

婚礼衣装に見る伝統美:掻取の魅力

ウェディングの質問

先生、「掻取」ってウェディングで聞く言葉ですよね?どんな意味ですか?

ウェディング専門家

いい質問ですね。「掻取」は花嫁衣装の一つである「打掛」のことを指しますよ。結婚式で花嫁が着る豪華な着物のことです。

ウェディングの質問

「打掛」と「掻取」は同じ意味なんですね。でも、どうして「掻取」って呼ばれるんですか?

ウェディング専門家

打掛は帯を締めずに着るので、歩くときに裾を引きずらないように手で持ち上げる必要があるんです。その仕草から「掻き取る」という言葉が使われるようになったんですよ。

掻取とは。

結婚式で使う「掻取(かいどり)」という言葉は、打掛(うちかけ)のことを指します。打掛は帯を締めずに着るので、歩く時に裾(すそ)を手で持ち上げなければなりません。その様子から「掻取」と呼ばれるようになったのです。

掻取とは

掻取とは

– 掻取とは

掻取(かいどり)とは、日本の伝統的な婚礼衣装である打掛の中で、帯を締めずに着用する特殊なものを指します。

打掛と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、白無垢や色打掛、引振袖といった、花嫁が身に纏う豪華な外衣でしょう。これらの打掛は、いずれも帯を締めて着付けを行います。

一方、掻取は帯を用いません。その代わりに、懐のあたりで褄(つま)をたくし上げて軽く抱え込むようにして着用します。歩く際には、裾を踏まないように、抱え込んだ褄を少し上に持ち上げる仕草が必要になります。この仕草が、まるで何かを「掻き取る」ような動作に見えることから、「掻取」と呼ばれるようになったと言われています。

掻取は、その名の由来となった独特な着こなしが特徴です。帯を締める必要がないため、動きやすく、妊婦や高齢の花嫁でも負担が少ないとされています。また、帯で隠れないため、打掛の美しい文様を余すところなく鑑賞できる点も魅力です。

項目 説明
種類 日本の伝統的な婚礼衣装である打掛の一種
特徴 帯を締めずに着用する
懐のあたりで褄をたくし上げて軽く抱え込むようにして着用する
名前の由来 褄をたくし上げて持ち上げる仕草が「掻き取る」ような動作に見えることから
メリット 動きやすく、妊婦や高齢の花嫁でも負担が少ない
帯で隠れないため、打掛の美しい文様を余すところなく鑑賞できる

掻取の由来

掻取の由来

– 掻取の由来

掻取の歴史は古く、平安時代にまで遡るとされています。
当時の宮廷では、身分の高い女性が外出する際に、塵除けの役割として長大な袿(うちき)を羽織るのが一般的でした。袿は現在の着物のように帯で固定せず、手で持ち上げて歩く必要がありました。この動作が、掻取の際に褄を持ち上げて歩く姿と重なります。つまり、掻取は袿の着付けの名残を留めていると言えるでしょう。

時代が下ると、宮中の女性たちの間で、礼装として掻取が定着していきます。
そして、武家社会が到来すると、武家の間にも広まっていきました。

江戸時代になると、それまで身分の高い人々に限られていた掻取が、庶民の間でも婚礼衣装として着用されるようになりました。

このように、掻取は長い歴史の中で、宮廷から武家、そして庶民へと広がり、現代の婚礼衣装として受け継がれています。

時代 掻取の変遷
平安時代 身分の高い女性が塵除けとして羽織っていた袿(うちき)が起源。
時代の下降後 宮中の女性たちの間で礼装として定着。
武家社会 武家の間にも広がる。
江戸時代 庶民の間でも婚礼衣装として着用されるようになる。

掻取の着こなし

掻取の着こなし

– 掻取の着こなし

掻取は、帯を締めずに羽織るように着用するため、他の打掛に比べて動きやすく、軽やかな印象を与えます。動きが出しやすい分、花嫁の所作の美しさが際立つのも特徴です。

しかし軽やかな反面、裾さばきや立ち居振る舞いは非常に重要になります。裾を引きずることなく美しく歩くためには、ある程度の練習が必要です。結婚式では、神前式や披露宴、写真撮影など、様々な場面で歩く機会があります。そのため、事前にしっかりと歩き方を練習しておくことが大切です。

歩く際には、まず褄(つま)を軽く持ち上げるようにします。持ち上げすぎると裾が上がりすぎてしまうため、ちょうど良い高さを見つけることが重要です。そして、裾を踏まないように注意しながら、ゆっくりと歩を進めます。歩く速度は、早すぎず遅すぎず、周囲と調和を保つことが大切です。

立ち止まっている際には、軽く手で褄を押さえ、美しいシルエットを保つように意識しましょう。背筋を伸ばし、穏やかな笑顔を浮かべることで、より一層花嫁の美しさが引き立ちます。

日頃から着物を着慣れていない場合は、着付け師の方に着付けの際に歩き方や立ち居振る舞いについても指導してもらうと良いでしょう。美しい所作を身につけることで、忘れられない結婚式の一日を、より一層輝かしいものとすることができるでしょう。

動作 ポイント
歩く – 褄を軽く持ち上げる
– 裾を踏まないようにゆっくりと歩く
– 周囲と調和を保つ
立つ – 軽く手で褄を押さえる
– 背筋を伸ばす
– 穏やかな笑顔を見せる
その他 – 日頃から着物を着慣れていない場合は着付け師に指導してもらう

掻取の種類

掻取の種類

– 掻取の種類

花嫁衣装の中でもひときわ華やかさを放つ「掻取」。
一口に掻取と言っても、その種類はさまざまです。
ここでは、代表的な掻取である「本振袖」と「引き振袖」の違いについて詳しく見ていきましょう。

まず「本振袖」は、未婚女性の第一礼装とされ、結婚式など特別な日に着用される正装です。
その名の通り、袖丈が長く、肩の縫い目から袖口までの長さが100cmを超えるものもあります。
生地には上質な絹が用いられ、華やかな刺繍や金箔などが施されているのが特徴です。
古典的な吉祥文様から、現代的なデザインまで、その種類は多岐にわたります。

一方、「引き振袖」は、その名の通り裾を引きずるほど長い袖が特徴です。
袖丈は125cm以上とさらに長く、豪華絢爛な印象を与えます。
かつては武家の女性の礼装とされていましたが、現代では、結婚式や披露宴などで着用されることが多く、その華やかさから人気を集めています。

このように、本振袖と引き振袖は、袖丈やデザイン、着用シーンなどに違いがあります。
どちらの掻取も、日本の伝統美を感じさせる、格調高い衣装と言えるでしょう。

項目 本振袖 引き振袖
袖丈 肩の縫い目から袖口まで100cm超 125cm以上
特徴 上質な絹、華やかな刺繍や金箔 裾を引きずるほど長い袖
着用シーン 結婚式など特別な日 結婚式や披露宴
その他 未婚女性の第一礼装 かつては武家の女性の礼装

掻取の魅力

掻取の魅力

– 掻取の魅力掻取といえば、帯を締めずに着用するその独特なスタイルが最大の魅力と言えるでしょう。身体のラインがはっきりと出ないため、かえって女性らしい柔らかな曲線美が際立ちます。帯がないことで生まれる開放感は、花嫁をよりいっそう美しく、そして魅力的に見せることでしょう。歩くたびに揺らめく裾は、まるで水面に広がる波紋のように優雅で、見る人の心を奪う美しさがあります。それは、日本の伝統的な美意識である「揺らぎ」そのものを表現しているかのようです。また、掻取は、熟練の職人たちの手によって作り出される、まさに芸術品と呼ぶにふさわしい衣装です。豪華な刺繍や染め物など、その一つ一つに日本の伝統技術と精神が込められています。その繊細で美しい文様は、見る者を圧倒するほどの存在感を放ち、袖を通す花嫁をさらに輝かせてくれるでしょう。伝統と格式を重んじながらも、現代的な感覚にも通じる掻取は、これからも多くの花嫁を魅了し続けることでしょう。

特徴 詳細
シルエット 帯を締めずに着用するため、身体のラインが出にくく、女性らしい柔らかな曲線を強調する。
開放感 帯がないことで生まれる開放感は、花嫁をより美しく、魅力的に見せる。
動き 歩くたびに揺らめく裾は、優雅で、見る人の心を奪う。日本の伝統的な美意識である「揺らぎ」を表現しているかのよう。
職人技 熟練の職人たちによって作り出される、芸術品と呼ぶにふさわしい衣装。
伝統技術 豪華な刺繍や染め物など、日本の伝統技術と精神が込められている。
デザイン 繊細で美しい文様は、見る者を圧倒するほどの存在感を放ち、花嫁をさらに輝かせる。
魅力 伝統と格式を重んじながらも、現代的な感覚にも通じる。